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2024.03.25
素材産業連携モデル

素材産業において、廃棄物等を原材料やエネルギー源などの資源として循環的に利用することで、脱炭素化への転換を支えながら資源循環の拡大を同時に実現していくモデル。

図1 素材産業連携モデル イメージ図

図1 素材産業連携モデル イメージ図
※赤枠は本モデルにおける主な取組

我が国の二酸化炭素排出量のうち、産業部門は35.0%を占めており、そのうち67.3%は素材産業から排出されている¹(電気及び熱の生産者側の排出として計上した場合、産業部門排出量は25.0%)。

回収された廃棄物等を、これらの素材産業で原材料やエネルギー源として活用することには、天然資源の消費量の削減のみならず、次のような二酸化炭素排出削減効果があり得る。

  • -天然資源から生産する場合に比べて必要となるエネルギー消費量の削減
  • -これまで用いていた化石燃料の代替による削減

さらに、脱炭素化のためには、エネルギー起源二酸化炭素のみならず、非エネルギー起源二酸化炭素の排出も実質ゼロにしていく必要がある。現状で廃棄物処理に伴い排出される二酸化炭素の多くは、廃プラスチック等の焼却に伴い発生する非エネルギー起源二酸化炭素であり、我が国の二酸化炭素排出量の2.5%(一般廃棄物及び産業廃棄物の合計)を占める²。

このことからも、2019年5月31日に政府として策定された「プラスチック資源循環戦略」に示された「3R+Renewable」の基本原則にのっとった取組を進めることが求められている。具体的には、使用済プラスチックのリユース・リサイクル等による有効利用、再生利用及びバイオマスプラスチックの導入を飛躍的に高めていくことも欠かせない。(⇒技術要素解説“「3R+Renewable」の発展に向けて期待されるバイオマスプラスチックとフィードストック(ケミカル)リサイクル”参照)

これらの取組に基づき、焼却される廃棄物については、量の最小化とともに、バイオマス比率の増大が期待される。将来も残存する焼却施設からは排ガス中の二酸化炭素を分離・回収し、これをカーボンフリーの水素・エネルギーも利用して、再びプラスチック等の原材料として活用することができれば、炭素源としての化石燃料の使用量の削減につながり、素材のカーボンニュートラル化へ資源循環分野が貢献することが期待される。このような役割を果たす廃棄物焼却施設は「炭素循環プラント」として、未来の産業分野における循環システムの重要な要素の一つに位置付けられることも考えられる³。 (⇒技術要素解説“CCUS(CCU/CCS)”参照)

これまで、我が国では、資源の相互利用を通じてあらゆる廃棄物をゼロにすることを目指す「ゼロ・エミッション構想」に基づく「エコタウン事業」により、資源循環を通じて産業振興・地域活性化を進めるプロジェクトが実施されてきた。今後は、脱炭素化に向けた産業分野での取組に、資源循環の取組を組み込んでいくことで、脱炭素社会への移行可能性を高めていく挑戦が期待される。

1, 2 出典:2018年度(平成30年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について(令和2年4月14日、環境省) ここでは、素材産業をパルプ・紙・紙加工品、化学工業、窯業・土石製品、鉄鋼とした。
3 なお、素材製造プロセスにおいては、高温を必要とするために電化による脱炭素化が困難な場合や、石灰石の使用に伴う二酸化炭素排出など、非エネルギー起源からの排出の回避が困難な場合もあり得ると考えられる。これらの発生源からの二酸化炭素を分離・回収して海底等への貯留(CCS)を進める際には、廃棄物焼却施設からの排ガスも併せて取り組んでいくことも、廃棄物分野からの二酸化炭素の排出を実質ゼロにしていく上での選択肢となり得ると考えられる。

技術要素解説

熱利用・熱輸送
「3R+Renewable」の発展に向けて期待されるバイオマスプラスチックとケミカルリサイクル(フィードストックリサイクル)
CCUS(CCU/CCS)

取組例

ウルサン広域市(韓国)