メタン発酵により得られるバイオガスの主成分は、メタンガスと二酸化炭素であり、メタンガスの含有比率はおおむね50~60%である。他に硫化水素等が微量含まれている。
メタン発酵により得られるバイオガスを精製したバイオメタンを、将来的な可能性としてバイオマス比率増大が見込まれる廃棄物由来の二酸化炭素をカーボンフリー水素によりメタネーションしカーボンニュートラルメタンとして、都市ガスに供給することも考えられる。
日本ガス協会では、ガス業界が主要エネルギー産業の一つとして2050年の脱炭素社会の実現を牽引していくべき立場にあるとして「カーボンニュートラルチャレンジ2050」を策定し、この中で、①徹底した天然ガスシフト・天然ガスの高度利用、②ガス自体の脱炭素化、③CCUSや海外貢献等の取組、の三つを掲げている。
②では、再生可能エネルギー等を活用したCO2フリー水素とCO2を合成して生成するカーボンニュートラルメタンと併せて、水素の直接利用及びバイオガスの活用を進めていくとしている。2050年のガス供給の絵姿においては、地域におけるバイオガスの活用及びメタネーションが描かれている。
図1 様々な手段の組合せによるカーボンニュートラル化に向けた移行イメージ
出典:「カーボンニュートラルチャレンジ2050」一般社団法人日本ガス協会ホームページ
https://www.gas.or.jp/pdf/about/challenge2050.pdf
処理施設においてバイオガスを精製しバイオメタンとして活用している事例を表1に整理した。
バイオガスの精製は、主に水洗法(高圧水を使用)、PSA分離法、膜分離法が用いられている。なお、環境省「中小廃棄物処理施設における先導的廃棄物処理システム化等評価・検証事業」では、CO2選択透過膜を用いてCO2を分離してCH4濃度を高め、従来よりも高効率なバイオガス発電を行うとともに、分離回収したCO2をガスエンジン発電機の排ガスを併設する焼却施設で有効利用することでCO2排出量を削減するシステムについて実証が行われている。
表1 国内におけるバイオメタン事例
※鹿児島市新南部清掃工場は建設中。工期は令和3年12月末まで。