焼却施設から蒸気供給を行うのは、近隣に高温の熱需要がある場合である。国内の事例では、主に蒸気タービンで温度・圧力が低下した発電途中段階の蒸気(抽気蒸気)を利用し、熱需要に応じて、広く周辺施設等に供給することができる。
表1 焼却施設(蒸気供給)の原料と生成物
特徴
- 製造業では、化学、ゴム、建材、食品等の様々な工場において、製造プロセスで蒸気を利用している。工場では蒸気をボイラーで燃焼させて製造しているケースが多く、焼却施設から直接蒸気を供給することにより、化石燃料を節約できる。また、焼却施設側から蒸気を供給することで、経済的便益と環境面の効果からみても熱の有効利用となる。
- 蒸気供給を行う際は、配管敷設コストが掛かる一方、ボイラ条件の緩和や発電設備の縮小ができる可能性もあり、地域特性等の条件がそろえば低コスト化につながり、採算性の確保も可能である。
- 焼却施設での廃棄物発電は、火力発電所に比べると発電効率が高くないため、近隣に蒸気を利用している工場がある場合は、蒸気供給する方が熱を効率的に利用できる。
- 焼却炉から工場への蒸気供給は、環境と経済の両面で効果が大きいため、隣国の韓国では積極的に進められている。国内ではこれまでほとんど実施されてこなかったが、実施の可能性を詳細に検討している事例もみられるようになってきている。
活動基盤/活動主体別のインプット/アウトプット及び想定されるメリット
表2 活動基盤/活動主体別の整理(焼却施設(蒸気供給))